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2020年12月

2020年12月 4日 (金)

内山田洋とクール・ファイブのレコード(11)~アルバム『内山田洋とクール・ファイブ 第2集』とシングル「愛のいたずら/恋は終ったの」

カヴァー・アルバム『夜のバラード』を挟み、1970年7月5日にリリースされた「噂の女」のヒットを受けて、9月24日から30日まで日劇で上演された『クール・ファイブ・ショー――やめて、噂の女』開催中の25日、オリジナル・アルバム第2弾が登場する。

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●アルバム03(オリジナル・アルバム02)

内山田洋とクール・ファイブ 第2集
RCA JRS-7097 1970年9月25日リリース

Side 1

1) 噂の女
山口洋子 作詞/猪俣公章 作曲・編曲

2) 愛の旅路を
山口あかり 作詞/藤本卓也 作曲/森岡賢一郎 編曲

3) 恋は終ったの
やまべはじめ 作詞/城 美好 作曲/森岡賢一郎 編曲

4) 女の生きがい
坂口宗一郎 作詞/内山田洋 作曲/森岡賢一郎 編曲

5) この世と恋と
前川 清 作詞・山口あかり 補作/前川 清 作曲/森岡賢一郎 編曲

6) 捨ててやりたい
川内康範 作詞/城 美好 作曲/森岡賢一郎 編曲

Side 2

1) 愛のいたずら
安井かずみ 作詞/彩木雅夫 作曲/森岡賢一郎 編曲

2) 一人の女
鳥井みのる 作詞/猪俣公章 作曲/池田 孝 編曲

3) 愛してよかった
鳥井みのる 作詞/猪俣公章 作曲/池田 孝 編曲

4) 夜のしのび泣き
山口あかり 作詞/宮本悦朗 作曲/岩崎 洋 編曲

5) 夜毎の誘惑
山口あかり 作詞/城 美好 作曲/森岡賢一郎 編曲

6) あきらめなんか欲しくない
山口あかり 作詞/岩城茂美 作曲/森岡賢一郎 編曲

内山田洋とクール・ファイブ 唄/前川 清

写真からロゴまで含め、ジャケット・デザインが秀逸。みんな若いというのもあるが、彼らの全アルバムの中で最もサマになっていると思うのは私だけだろうか。見開き内側に掲載された、たかたかしのライナーの“「決まったぜセニョール!」こう呼びたくなるようなLPである”との書き出しにはさすがに時代を感じてしまうが(ケーシー高峰が「セニョール」などのスペイン語を多用した医事漫談で人気者になったのがあの時代)、このライナーでは意外なネタも披露されている(詳しくは後述)。

収録曲中のシングル曲は、「逢わずに愛して」のB面だった「捨ててやりたい」、続く4枚目は「愛の旅路を/夜毎の誘惑」 の両面。次の「噂の女」はこれまでにも書いてきた通りファースト・アルバムにも収録されていたが、ヴォーカルを録り直してシングル・カットされたので、ここではその新ヴァージョンで再度収録されることになった。なお、「噂の女」のB面で、8トラック・カートリッジ『クールファイブ デラックス』にも収録されていた「だまって行かないで」は、ここでは収録を見送られ、1971年12月の『第3集』までお預けとなる。

そして、次のシングルとして10月5日に発売されることになるのが「愛のいたずら」「恋は終ったの」。当初は単にアルバム収録曲として用意されていたようで、ライナーには“「愛のいたずら」に限らず、どのオリジナル曲も各々シングル盤として立派に通用する傑作ぞろいで”と書いてあるが、この「愛のいたずら」について同じライナーの中で“RCAアーチストのライトハウスが来日した際、たまたまスタジオを訪れこの曲の録音風景を見学し、すっかりこの曲が気に入って、是非英語で歌いたいといって帰ったそうである”と紹介されているのが気になった。このエピソードがどこまで本当かはわからないが、調べてみたところ、カナダの大編成ロック・バンドのライトハウスは、大阪で行われていた日本万国博覧会(EXPO '70)に出演するために来日し、1970年7月15日から17日まで(カナダ館ではなく)オンタリオ・パビリオンで演奏したとのことだ。彼らはRCAからのサード・アルバム『Peacing It All Together』(邦題:南無妙法蓮華経)をリリースした後だったが、これを最後にGRTに移籍してしまったので、いずれにしてもコラボレーションに発展することはなかったはずだ。これは余談だが、万博といえばクール・ファイブも、5月9日に万博ホールでの『ヤング歌謡フェスティバル』に出演している。

「愛のいたずら」と「恋は終ったの」についてはこの後のシングル紹介で触れることにするとして、残り6曲が純粋なアルバム収録曲となるが、メンバーの自作曲が4曲あるのに注目したい。リーダー内山田洋は小粋なシャッフル・ナンバーの「女の生きがい」を提供。珍しく前川清と他のメンバーとのハーモニーから始まるコーラス・ワークも決まっている。作詞の坂口宗一郎は、第9回で触れた大船渡の「板前さんよ」(1970年9月5日発売)、研ナオコのデビュー曲「大都会のやさぐれ女」(1971年4月発売)などを作詞している人物。続く前川清の初作品「この世と恋と」についても、ライナーから拾っておこう。“このLPに収める十数曲の作品が集った頃、山田ディレクターのところへ前川清がおずおずと現われ、「あのー、これ駄目でしょうか?」と一枚の楽譜を差し出したので、早速彼に歌わせたところ、これがナント、2オクターブの音域がある代物―流石の山田ディレクターもぶっとんだという”。確かにかなり低い音程から歌い出す、なかなかにスケールの大きな作品に仕上がっていて、前川は山口あかりの手を借りつつも作詞まで手掛けている。宮本悦朗は「夜のしのび泣き」で夜のムードを演出。編曲を手掛けたのは岩崎洋で(クール・ファイブとは唯一のコラボレーション)、NHKで作曲や編曲を担当し、ピアニストとしてイージー・リスニング・アルバムの制作や「やさしいアレンジによるポピュラー・ピアノ曲集」などの楽譜出版も手掛けている。そして岩城茂美も作曲家デビューを果たし、アルバムの最後を飾る「あきらめなんか欲しくない」を提供した。宮本の作品も岩城の作品も、作詞は「愛の旅路を」以来の山口あかりである。

残る2曲はいずれも作詞が「わかれ雨」の鳥井実(ここでの表記は鳥井みのる)、作曲が猪俣公章で、編曲の池田孝というのは、後に北島三郎の「与作」や吉幾三の「酒よ」などを手掛けることになる池多孝春の本名である。

そして10月になり、アルバムからカットされた前述のシングルが登場する。

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●シングル06

A) 愛のいたずら
安井かずみ 作詞/彩木雅夫 作曲/森岡賢一郎 編曲

B) 恋は終ったの
やまべはじめ 作詞/城 美好 作曲/森岡賢一郎 編曲

RCA JRT-1115 1970年10月5日発売

上記『内山田洋とクール・ファイブ 第2集』からのシングル・カットとなった「愛のいたずら」。作曲は彩木雅夫で、「逢わずに愛して」以来3作ぶりの起用となった。作詞は安井かずみ(1939~1994)。語学に堪能で、詩を書くのも好きだった専門学校生時代、仲の良かった漣健児に誘われて訳詞を手掛けるようになる。みナみカズみという初期のペンネームを考えたのも漣だった。やがて、訳詞を提供していた伊東ゆかりやザ・ピーナッツの作詞をするようになり、1960年代後半にはザ・ワイルド・ワンズ、ザ・タイガース、布施明、辺見マリら、主に渡辺プロダクション所属の歌手やグループへ歌詞を提供していく。ちなみに、彼女の唯一のアルバム『ZUZU』がリリースされたのは、この「愛のいたずら」が出る約1か月前のことである。クール・ファイブへの曲提供もナベプロ絡みとも言えそうだが、結局これ1曲に終った。彩木雅夫とのコンビもこれ1曲だけだろう。

彼らのシングルはこれまですべて3連のロッカ・バラードだったが、これは初のワルツ。ワルツとはいっても、ズンタッタ~という感じではなく、2拍目の表と3拍目のシンコペートした裏をリムショットが刻み、ギターのアルペジオやさりげないオルガンの響きが洒落た雰囲気を醸し出している。コーラスも厚めだ。内山田はこの曲について“ジャズ・ワルツ調の自信のある仕上がりだったのですが、余りヒットしませんでした”と語っているが、オリコン最高10位、売り上げ21.8万枚という数字は、決して悪くはない。彼らの全シングル50枚中、トップ10入りしたのは8枚、20万枚を超えたのは9枚だけなのだから。あの50万枚を超えた「噂の女」の次作という点と、有線ではカップリングの「恋は終ったの」の方に人気が集まったという事実が、印象を薄くしてしまったか。

その「恋は終ったの」は、内山田も『〈スター・マイ・セレクション・シリーズ〉内山田洋とクール・ファイブ』(1978年)のライナーに“我々には珍しくラテン調の軽い感じの仕上りになっています。どういう訳か、有線では圧倒的にA面より、この曲の方が支持されたという不思議な曲です”と書いている通り、生ギター(レキントギターか?)のイントロから始まる、切なさを湛えたラテン風味の曲で、作曲は城美好(チャーリー石黒)。カタカナ読みだがスペイン語のリフレインも含む、江の島を舞台にした歌詞は、やまべはじめ作詞となっているが、これもチャーリー石黒のペンネームと思われる。1981年に羽田健太郎の新編曲でこの曲を再録音し、3月にシングル化した際には、チャーリー石黒作詞・作曲とクレジットされることになるのだった。

(文中敬称略、次回に続く)

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