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2019年9月18日 (水)

最高だったフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ東京公演

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前回もご紹介したとおり、奇跡かと思われたフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの再来日公演が実現した。2014年1月の初来日(それも奇跡だったが)の時は18日に日比谷公会堂で1公演のみで、どちらかというと年齢層高めでマニアックな洋楽ファンが頑張って集まったという感じだったが、今回は9月10日と11日が昭和女子大学 人見記念講堂、13日が大阪のフェスティバルホールと、3公演に拡大。もちろんその間には『ジャージー・ボーイズ』を巡る様々な動きがあり、それが再来日実現に繋がったことは間違いない。ちなみに日本で映画が公開されたのは2014年9月27日で、次いでブロードウェイミュージカルのキャストが2015年6月25日から7月5日まで来日公演を行い、その後は、私は観に行っていないが日本人キャストによるミュージカルの日本版まで上演されている。

今回私が観たのは11日の公演。とにかく、10日の公演が終わった時点でFacebookには「楽しかった」「凄かった」「よかった」という声が溢れていたので、期待を更に膨らませて出かけた訳だが、会場の大半を埋めていたのは『ジャージー・ボーイズ』を通過して来た幅広い層の観客たちで、その様子を見るだけでも感無量といった感じだった。

そして肝心のコンサートだが、これがもう凄かった。79歳だった5年半前と比較しても、やはり懸念されたのは85歳という年齢による健康面への影響。私は日頃高齢者と接する仕事をしているので、平均的な85歳がどのような状態にあるかはわかっているつもりだが、ステージに登場したフランキー・ヴァリは、歩く姿こそゆっくりだが、声も佇まいもまったく衰えを感じさせなかった。「年齢の割には…」などという表現がまったく通用しない、現役感バリバリのステージ運び。前回もそうだったが、「神に誓って」の間奏部分で一度引っ込む以外はまったく休憩なしで、数箇所ある曲間のしゃべりも必要最小限。本編とアンコールの間もバンドはそのまま、フランキーが一瞬引っ込んですぐ出てくるという感じで、結局全25曲(曲目は後述)ほぼほぼ歌いっぱなしだった。

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開演前に今回の公演プログラムを開いて驚いたのが、コーラスとダンスを担当する4人もバンドのメンバーも、ほぼ入れ替わっていたことだ。フランキーが全幅の信頼を置いているバンマスでキーボードのロビー・ロビンスンは当然ながら不動だが、あと変わっていないのはサックス/フルートのリック・ケラーだけ。ステージを構成するメンバーやセットリストなどの動向については、ここのところチェックをさぼっていたので、まったく知らずにいたというわけだ。調べてみたらギターのベイジル・ファングは2017年から、ほかの新メンバーたちは2018年から、そしてパーカッションのクリスティアン・モラーガのみ2019年に入ってからの参加ということで、一気に顔触れを一新していたことが判明。

バンドの編成もやや異なり、ギターが2人から1人になり、逆にキーボードがもう1人(サンドロ・レベール)加わった(前回はキーボードも兼任していたケラーは管楽器とパーカッションに専念)。前回は5人いた現地調達の「トーキョー・ホーン・セクション」は2人だけ(トロンボーンとトランペット)に減っていたが、特に物足りなさは感じなかった。そして、全体のアンサンブルは若返った感じでまとまりもよく、各メンバーの力量はもとより、ロビンスンの統率力の強さにも改めて感心させられた。

これまでコーラスとダンスを担ってきた4人、すなわちトッド・フォーニア(2002年参加)、ランドン・ベアード(2003年参加)、ブライアン・ブリガム(同)、その弟のブランドン・ブリガム(2006年参加)は、各自離脱したりしていた時期もありながら、長年にわたりフランキーを支えてきたが、昨年フランキーに祝福されながら独立して新しいグループ、ザ・モダン・ジェントルマンを旗揚げしたとのこと。

新メンバーのうち、エリック・ベイツは2005年から2006年までフォー・シーズンズのコーラスを務め、その後2011年にはブロードウェイ版『ジャージー・ボーイズ』で一時期トミー・デヴィート役を務めたこともあった。残りの3人はロネン・ベイ、クレイグ・ケイディ、ジョセフ・オットで、それぞれ主にミュージカルで活躍してきた若手ということだ。

実は、昨年11~12月のイギリス公演も、今回の日本公演同様「フェアウェル・ツアー」とアナウンスされていて、今後の動向が注目されるところだが、こうした「最後の」一連の公演を前にメンバーをゴソッと入れ替えてリフレッシュさせる、というのはなかなかできることではないだろう。フランキーの体力的にみて、海外への大掛かりな公演は難しくなるが、国内を中心とした演奏活動はこれからも続けてくれる、ということであれば納得もいくのだが。

それでは、当日のセットリストをご紹介しよう(3日間とも同じ)

1. Working My Way Back To You 君のもとに帰りたい
2. Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me)
3. Beggin' 悲しきプロポーズ
4. Save It For Me
5. Dawn (Go Away) 悲しき朝やけ
6. Tell It To The Rain 雨に言っておくれ
7. I've Got You Under My Skin 君はしっかり僕のもの
8. Swearin' To God 神に誓って
9. Silence Is Golden
10. The Night
11. Fallen Angel 天使の面影
12. Grease
13. Who Loves You 愛はまぼろし
14. Call Me
15. Spanish Harlem
16. My Girl/Groovin'
17. My Eyes Adored You 瞳の面影
18. December, 1963 (Oh. What A Night) 1963年12月(あのすばらしき夜)
19. Can't Take My Eyes Off You 君の瞳に恋してる
20. Sherry
21. Big Girls Don't Cry 恋はヤセがまん
22. Walk Like A Man 恋のハリキリ・ボーイ
23. Bye, Bye, Baby (Baby, Goodbye)
(Encore)
24. Rag Doll 悲しきラグ・ドール
25. Let's Hang On!

実に見事な構成だった。オープニングから60年代中期の強力ヒットを立て続けに6曲やって、まずノックアウト。そして個人的にフォー・シーズンズ芸術の頂点と信じるコール・ポーター作品(7)の後は、主に70年代の曲を並べ、『ジャージー・ボーイズ』でのピークを象徴する(13)へと盛り上がっていくわけだが、ここでの最大のポイントと言いたいのが、初来日公演でお預けをくらった(10)を遂に聴けたこと。1972年のモーウェストからのアルバム『カメレオン』収録曲で、一般的な知名度では他のヒット曲群に劣るが、英国でのフォー・シーズンズ再評価への決定打となったグルーヴィな傑作である。18年振りとなった2012年のイギリス公演でロビンスンによる新アレンジで披露され、そればかりかスタジオ・ヴァージョンも録音された。以降イギリス公演は毎年行われ、この曲がハイライトのひとつになってきたと思われる。それはともかく、その2012年の新録が1972年のオリジナルと共に収録された英国編集のCD2枚組“Working My Way Back To You”、折角来日記念盤『君のもとに帰りたい~ニュー・ベスト』(WPCR-18256/7)として国内発売されたにも拘らず(当然会場でも売られていた)、肝心の「ザ・ナイト」が2ヴァージョンともに他の曲と差し替えられてしまっていたことに関しては、前回も触れたとおり。5年前にはやらなかったこの曲が遂にステージでも聴けただけに、なんともやりきれない。

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さて、気を取り直して(14)~(16)は2007年のカヴァー・アルバム“Romancing The '60s”からのコーナーで、前回からは「レット・イット・ビー・ミー」が削られた(このほかに全体を通して、前回やって今回やらなかったのは「ステイ」)。(16)のテンプテーションズ~ラスカルズ・カヴァーのメドレーがやたらウケていたが、これは観客の大多数がこのカヴァー集の存在を知らないということ。知らないのが悪いのではなくて、『ジャージー・ボーイズ』がいくら盛り上がっても、来日があっても国内盤を出そうともしない(これは『カメレオン』を丸々収めた2枚組“The Motown Years”も同様)ユニバーサル・ミュージックの怠慢によるものである。

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相変わらずの名唱(17)、そしてコーラスの4人をフィーチャーした(18)の後は、怒涛の大団円へ。(19)のサビなど、フランキーからみんなで歌うように促されてもなかなか声が揃わなかったのは致し方ないが、客席も大いに盛り上がった。正に夢のような時間だった。本当に、もう「次」はないのだろうか。大阪公演を観た知人の話では、「また帰ってきたい」との言葉も本人の口から出たということで、期待を胸に生きて行きたい。

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会場で売られていた公式プログラムは、本国でのオフィシャルなものをベースに作られていると思われ、写真も満載で、内容はとても充実していた。日本向けに、フランキー本人からのメッセージも英語と日本語訳で掲載されていた。更にオマケとして、「日本盤シングル・リリース」のページも設けられ、私は国内盤はほとんど蒐集していないこともあり、これも見応えがあった。

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ただし、フォー・シーズンズについてはこれで完璧だろうが、フランキー・ヴァリの国内ソロ・シングルについて言うと、少なくとも「天使の面影」(東芝)と「パリでダンスを」(ビクター)が抜けていて、そこがちょっと残念だった。

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今回の公演に接し、改めてフランキー・ヴァリやフォー・シーズンズについて詳しく知りたい、きちんと聴いてみたいと思われた方も多いのではないかと思う。

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最後にまた宣伝になってしまい恐縮だが、彼らの歩みを詳細に追った拙著『フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズのすべて』(スペースシャワーブックス)、まだまだ在庫はあるので、興味のある方はぜひご一読頂ければ幸いです。

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